文 : 長尾 初次

 

 

 中国には医食同源という思想があります。食べ物で健康を保ち、病気を治す、これはとても大切なことであります。しかしながら現代においてはより効果的で薬の服用が必須となる方も多くなっています。また近年では健康ブームもあり健康食品も多々見受けられる様になりましたが、薬として申請するか、食品で申請するかだけの違いだけで、食品だから安全という概念には杞憂を感じさせられます。今回は薬の服用が必須であるという条件のもと、食品によって薬の効果が減じたり、副作用がでるケースをいくつか紹介いたしましょう。

 

 イチゴ、レモン

 イチゴやレモン、と言えば直ぐに思い浮かぶのは、ビタミンCでしょう。ビタミンCは欠乏すると、感染に対する抵抗力や傷の治癒力の低下がおこる。このような大切なビタミンなのに人間は体の中で合成できない。だから我々は食品としてとるしかないのである。だから毎日、果物やイモ、緑黄色野菜など豊富にビタミンCの含まれている食品を食べなくては成らないのである。但し折角のビタミン群は時として薬の効果に影響を及ぼす事があるのです。身体に良いものだから沢山摂れば摂るほど良いと言うわけではないのです。 

相性が悪い薬

アスピリン

 貧血、無力、口内炎等を起こした例が報告されている。アスピリンは鎮痛解熱剤として有名な薬だが、近年は血栓溶解剤としてよく使われている。

 ウナギ、にんじん、レバー

 これらに共通した栄養素はビタミンA、これは網膜、上皮細胞、生体膜、軟骨などの機能維持にかかわっている。不足すると、夜盲症、皮膚や粘膜上皮の角化を起こすといわれている。 

相性が悪い薬

テトラサイクリン系の抗生物質

 頭痛を起こしやすい。
 またビタミンAは妊娠初期に摂りすぎると奇形を起こす確立がアップします。但しビタミン剤などの過剰服用でもしない限り、こういった影響はありません。

 牡蛎、カボチャ

相性が悪い薬

塩酸ヒドララジン(血圧降下剤)

 塩酸ヒドララジンは血管を拡張させることによって血圧を降下させる薬で、速効性があるために高血圧緊急症にも用いられる。そして脳血管障害や腎機能低下の看られる高血圧の患者にはファーストチョイスとしてよく用いられる。カキやカボチャに多量に含まれる亜鉛により塩酸ヒドララジンは頭痛、頻脈、起立性低血圧等の副作用が増強される。

 100%果汁ジュース

相性が悪い薬

硫酸キニジン、ジギトキシン、ジゴキシン

 抗不整脈に硫酸キニジンと一緒だと、副作用がでやすい。尿管からの再吸収が増大して血中濃度が上昇し、心悸亢進、耳鳴り、視覚障害等の副作用を起こしやすくなる。理由は果汁により尿がアルカリ化するために非解離型のキニジンの割合が増え、排泄が阻害されるためである。
 強心剤として有名はジギタリス(ジギトキシンやジゴキシン)は果汁ジュースとともに摂ると、これらの薬の血中濃度が高くなり(効きすぎる)ジギタリス中毒という状態に陥りやすい可能性がある。これらは、吐き気、めまい、不整脈などの軽い中毒症状で済む場合がほとんどだが、まれに重傷化することもある。

 カリフラワー、キャベツ

相性が悪い薬

甲状腺ホルモン剤、アセトアミノフェン

 厚生省の調べによると、キャベツは年間1世帯あたり24キログラムも食べられている。ビタミンが豊富で、ほかに、カルシウムなどもふくまれている。甲状腺製剤と一緒に摂取した場合、キャベツ等に含まれる成分(チオオキサゾリジン)により、甲状腺製剤の主成分のヨウ素の吸収が阻害され効果が低下する。アセトアミノフェンは市販の風邪薬の成分として有名だが、これらの食材と一緒に服用した場合、薬の排泄がはやまる傾向があり薬の効きが悪くなる。

 カレー

相性が悪い薬

クロルプロバミド(糖尿病用剤、スルホニル尿素系)

 経口血糖降下剤の一つであるクロルプロバミドと一緒だと薬の血中濃度が一気に高くなり、低血糖などの副作用をおこしやすい。

 グレープフルーツ

相性が悪い薬

抗ヒスタミン剤、Ca桔抗剤(血圧降下剤)

 痒みやアレルギー性鼻炎などでよく使われる抗ヒスタミン剤と一緒だと血中濃度が必要以上に上昇し、強い眠気、肝障害、心室性不整脈等の副作用をおこす。理由は、グレープフルーツに含まれるフラボノイドはチトクロームP450 3a4(肝臓に存在する薬物代謝)を阻害するが、それが阻害されるために血中濃度が上昇すると考えられる。Ca桔抗剤(血圧降下剤)も同様に副作用が出やすくなり、注意が必要である。ただし原因はまだ十分解明されていない。
 なお、オレンジでも同様に注意が必要である。グレープフルーツと一緒だと副作用を発現する薬剤は他にもたくさんあるので注意すべきである。

 コーラ、ビール

相性が悪い薬

アスピリン

 有名な鎮痛成分であるがアスピリンと一緒だとアスピリンの吸収に明らかな遅延がみられこれはすなわち効果が落ちて副作用が出やすくなる事を示している。それは炭酸が影響していると思われる。

 卵、レバー、ほうれん草、ひじき

相性が悪い薬

セフエム系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系(抗生物質)

 これは鉄分の多い食品である。鉄分は血液中のヘモグロビンとして酸素を運ぶ働きだけでなく、筋肉の収縮やある酵素の構成成分としてもなくてはならないものである。しかし日々の出血や発汗そして新陳代謝によって失われている。1日の必要量は、成人男子で10ミリグラム成人女子で12ミリグラム、幼児−小児は6−12ミリグラムである。これを単品の食品に置き換えると、ほうれん草の場合は約265g、ヒジキ[乾燥品]約18g、牛レバー約250g、豚レバー約77g以上の摂取が必要となる。しかし以下の薬とは一緒にはとらないように。
 セフエム系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系の抗生物質はこれらの食品と一緒に服用した場合吸収が低下し、効果が減弱されるおそれがある。理由は腸管内で鉄イオンと前記の薬剤がキレートを作るためにほとんど吸収されなくなるからである。

10

 納豆

相性が悪い薬

ワーファリン

 これは皆さんご存じの血液凝固阻止剤のワーファリンと一緒だと作用を減弱させる。理由はワーファリンは肝臓においてビタミンK依存性の血液凝固因子の合成を阻害して効果を発揮するが、納豆に多量にふくまれるビタミンKがこれに競合するためである。心臓の薬を飲んでいる場合は納豆が食べられないという風評があるが、ワーファリンだけが駄目であるのでお間違いのないように。

11

 ほうれん草、パセリ、ブロッコリー

相性が悪い薬

ワーファリン

 これらの野菜の栄養素の共通点はビタミンKである。納豆と同じであるが含有量が少ないので、普通の摂取では問題はおこらない。ちなみにこのビタミンが不足すると出血傾向になることから、抗出血性ビタミンともよばれる。脂溶性なので体に蓄積性があることから過剰症が懸念されるが、重い副作用の報告はない。これらの緑食野菜を一日に500g以上も食べた場合には、理論上やはりワーファリンの効き目がおちる。

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 牛乳、それにアルカリ飲料

相性が悪い薬

便秘薬、ジギタリス

 便秘薬(コーラック等)を牛乳やオレンジジュース等のアルカリ飲料で飲むと薬効を落とすだけでなく場合によっては吐き気等が誘発される。
 ただし、一緒に服用した場合である。牛乳などは便秘の際によく飲まれるが時間をおけば大丈夫だといえる。
 牛乳には鎮静作用があり心博数を減少させるためのジギタリスの作用と相互作用にて除脈などのジギタリス中毒に発展させる可能性がある。

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 アルコール

相性が悪い薬

ベンゾジアゼピン系の催眠、鎮静剤、アスピリン、ジギタリス製剤、ニトログリセリン、アセトアミノフェン

 ベンゾジアゼピン系の催眠、鎮静剤と一緒だと中枢神経抑制作用が強まり、酔いや、運動反射機能障害も強まる。そして重篤になると呼吸抑制や循環不全を起こし危険である。(ベンザリン、ネルボン、セルシン等)理由はアルコールと薬が競合して薬の代謝が遅延し作用時間を延長させるためである。さらにアルコール自体にも中枢神経抑制作用があるため、薬と協調に働く為である。同じベンゾジアゼピン系のハルシオンの場合は前述の薬剤よりも中枢抑制作用は軽度だが、記憶の欠損や人格異常を起こした例が報告されている。
 また、アスピリンと一緒だと胃壁に損傷を起こしやすい。
 強心配糖体のジギタリス製剤と一緒だと効きすぎて中毒に発展する可能性がある。
 冠血管拡張薬ニトログリセリン(舌下錠)と一緒だと血管拡張が急激におこり、血圧が低下し場合によってはショックを起こし、非常に危険である。
 アセトアミノフェン配合に風邪薬と一緒だと効きすぎて副作用がでやすい。

 この文章を読んで(これでは何も食べれない)と思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし日常で普通に食されているものにも薬との相性があるという点にはご留意ください。アルコールなどの趣向品は別にして、要点と量、とりかたなどに注意すれば問題が起こる可能性は低下します。自分の飲まれている薬は何かということはきちっと理解しておく事は大切です。

補足 お薬と趣向品およびお薬同士の相性

1)

強心剤(ジギタリス)

 ジゴキシン等に治療をおこなっている人は市販の胃腸薬(胃潰瘍等)と一緒だと、副作用がおきる可能性がある。胃調薬に含まれるrートエキスの抗コリン作用により胃腸の蠕導運動などがゆっくりとなり薬の吸収量が多くなり中毒を起こしやすい。

2)

抗不整脈薬

 アルコールと一緒だと、血中消失速度が速くなり薬効が落ちる。
 タバコと一緒だと、薬効がほとんど期待できない。理由は、ニコチンは作用上ベータ遮断剤と桔抗するためである。

3)

血糖降下剤(インシュリン等々)

 ベータブロッカーと呼ばれる高血圧治療薬と服用した場合、低血糖の警告となる頻脈、脈圧の変化がベータブロッカーの効果により表面に出にくくなり、この結果、見落とされる可能性がある。

4)

狭心症治療薬

 アルコールと一緒だと冠循環に悪い影響を与え、血管拡張が急激におこり、血圧が低下する場合があり危険である。

5)

高脂血症治療薬

 血液凝固阻止剤(ワーファリン等)と服用すると、副作用として悪心、嘔吐、脱毛等が出現する可能性がある。

6)

痛風治療薬

 カゼ薬、鎮痛剤(アスピリン等)と服用すると効き目が悪くなる。痛風とは体内に尿酸が蓄積して関節等に析出し、関節炎発作等を起こす病気だが尿酸排泄薬は尿酸の排泄を促進する。しかしカゼ薬と鎮痛剤に含まれる、アスピリン等が尿酸排泄薬の薬効をおさえて尿酸をだしにくくする。

7)

糖尿病治療薬

 アスピリン(バッファリン等)と一緒に服用した場合効果がききすぎて低血糖となる場合があります。

注)

 狭心症治療薬といっても何種類もあり、その全てが問題となるわけではありません。同様に他の薬も同じです。

参考文献:「薬+食品=毒 薬と一緒だと毒になる食品」(著)太田政孝 (出版社)データハウス

くらしのアドバイス 「食べ合わせを知ろう」

「新聞切り抜きより」

 せっかく栄養価のの高い食品を食べても、食べ合わせが悪いと、消化、吸収が悪くなることがあります。
 鉄分が豊富な食品(プルーン、ヒジキ、レバーなど)と、タンニンを多く含む食品(コーヒー、紅茶、緑茶など)との組み合わせはNG。タンニンが鉄分の吸収を妨げます。サラダで定番のキュウリとトマトも、実は食べ合わせが悪いカップル。キュウリに含まれるアスコルビナーゼという成分には、トマトに豊富なビタミンCを壊してしまう作用があるのです。
 古くから伝えられる「うなぎと梅干し」に医学的根拠はないようですが、梅干しの酸味によって脂肪分の多いうなぎを食べ過ぎるのを戒めた先人の知恵かも知れません。